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大阪地方裁判所 昭和61年(わ)2803号 判決 1987年5月26日

本店所在地

大阪市港区弁天二丁目一三番一六号

商号

株式会社日本消費者サービス

代表者氏名

加郷充こと岡本充

本店所在地

徳島市八万町上福万一〇番地の二一

商号

株式会社第一信用保証

代表者氏名

加郷充こと岡本充

本籍

徳島市昭和町三丁目六番地の一及び二

住居

同市八万町川南四三番地の五

会社役員

三村昭二

昭和一九年八月一三日生

右被告人三名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官矢田次男出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社日本消費者サービスを罰金三〇〇〇万円に、被告人株式会社第一信用保証を罰金一二〇〇万円に、被告人三村昭二を懲役一年二月にそれぞれ処する。

被告人三村昭二に対し、この裁判が確定した日から五年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社日本消費者サービスは、大阪市淀川区西中島三丁目一八番二一号に本店を置き(昭和五八年七月二八日、同市港区弁天二丁目一三番一六号に移転。)、被告人株式会社第一信用保証は、同市淀川区西中島三丁目一八番二一号に本店を置き(同年一〇月五日、徳島市八万町上福万一〇番地の二一に移転。)、いずれも貸金業者に対する借入債務の保証を業とするもの、被告人三村昭二は、右両被告法人の実質経営者としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人三村昭二は

第一  被告人株式会社日本消費者サービスの業務に関し、法人税を免れようと企て

一  昭和五六年一〇月二〇日から昭和五七年八月三一日までの事業年度において、その所得金額が一億二八一七万九二六七円で、これに対する法人税額が五二八八万六二〇〇円(別紙修正損益計算書(一))であるにもかかわらず、架空の給料手当て及び支払保証料を計上するなどの行為により右所得の一部を秘匿したうえ、昭和五七年一一月一日、大阪市淀川区木川東二丁目東二丁目三番一号所在の所轄東淀川税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四一九一万一三〇二円で、これに対する法人税額が一六六五万三七〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税三六二三万二五〇〇円を免れた

二  昭和五七年九月一日から昭和五八年八月三一日までの事業年度において、その所得金額が二億一八四九万一六九七円で、これに対する法人税額が九〇七五万八八〇〇円(別紙修正損益計算書(二))であるにもかかわらず、前同様の行為により右所得の一部を秘匿したうえ、昭和五八年一〇月三一日、前記東淀川税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の欠損金額が一二七万五二一九円で、これに対する法人税額がない旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税九〇七五万八八〇〇円を免れた

第二  被告人株式会社第一信用保証の業務に関し、法人税を免れようと企て、昭和五八年五月一日から昭和五九年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が一億三〇九四万八〇三〇円で、これに対する法人税額が五五七一万六四〇〇円(別紙修正損益計算書(三))であるにもかかわらず、前同様の行為により右所得の一部を秘匿したうえ、法人税確定申告書提出期限である昭和五九年六月三〇日までに徳島市幸町三丁目五四番地所在の所轄徳島税務署長に対し、右事業年度の法人税確定申告書を提出せず、もって不正の行為により、法人税五五七一万六四〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

―各証拠末尾括弧内算用数字は、検察官請求証拠等関係カード番号を示す―

判示全事実につき

一  被告人三村昭二の当公判延における供述

一  被告人三村昭二の大蔵事務官に対する質問てん末書一六通(105ないし113、115ないし121)

一  被告人三村昭二の検察官に対する供述調書四通(122ないし125)

一  菅生浩作成の確認書八通(32、33、38ないし43)

一  菅生浩の大蔵事務官に対する質問てん末書一七通(56、59、61、64ないし68、71、77ないし80、83ないし86)

一  岡本充の大蔵事務官に対する質問てん末書九通(44ないし51、53)

一  岡本充の検察官に対する供述調書二通(54、55)

一  榊原諭の大蔵事務官に対する質問てん末書四通(87、88、90、92)

一  榊原諭の検察官に対する供述調書

一  大石宗史の検察官に対する供述調書

判示第一の各事実につき

一  菅生浩作成の確認書三通(31、34、35)

一  菅生浩の大蔵事務官に対する質問てん末書一〇通(57、58、60、63、69、70、72、74、81、82)

一  榊原諭の大蔵事務官に対する質問てん末書三通(91、93、94)

一  小松俊彦、小松サヨ子、森下幸子、割石順子の各検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書一一通(12ないし16、18ないし21、23、29)

一  登記官作成の登記簿謄本(6)

一  被告人株式会社日本消費者サービス作成の「定款」と題する書面

一  港税務署長作成の証明書

判示第一の一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(1)

一  港税務署長作成の法人税確定申告書謄本及び法人税修正申告書謄本(順次3、4)

判示第一の二の事実につき

一  大蔵事務官作成の査察官調査書二通(17、22)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(2)

一  港税務署長作成の法人税確定申告書謄本(5)

判示第二の事実につき

一  被告人三村昭二の大蔵事務官に対する質問てん末書(113)

一  菅生浩作成の確認書二通(36、37)

一  菅生浩の大蔵事務官に対する質問てん末書四通(62、73、75、76)

一  岡本充の大蔵事務官に対する質問てん末書(52)

一  榊原諭の大蔵事務官に対する質問てん末書二通(89、95)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書七通(21、24、25ないし28、30)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(9)

一  登記官作成の登記簿謄本(10)

一  被告人株式会社第一信用保証作成の「定款」と題する書面

(法令の適用)

被告人三村昭二の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一年二月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から五年間その刑の執行を猶予する。

被告人三村昭二の判示第一の各所為はいずれも被告人株式会社日本消費者サービスの業務に関してなされたものであるから、法人税法一六四条一項により同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用し、判示第一の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告人株式会社日本消費者サービスを罰金三〇〇〇万円に処することとする。

被告人三村昭二の判示第二の所為は被告人株式会社第一信用保証の業務に関してなされたものであるから、法人税法一六四条一項により同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用して、その金額の範囲内で被告人株式会社第一信用保証を罰金一二〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

昭和六二年六月四日

(裁判官 上原茂行)

別紙(二)の(1)

修正損益計算書 (一)

株式会社 日本消費者サービス

自 昭和56年10月20日

至 昭和57年8月31日

<省略>

修正損益計算書 (二)

株式会社 日本消費者サービス

自 昭和57年9月1日

至 昭和58年8月31日

<省略>

修正損益計算書 (三)

株式会社 第一信用保証

自 昭和58年5月1日

至 昭和59年4月30日

<省略>

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